【ブランディング撮影】新卒1年目が社長に聞く!萬屋本店ブランディング撮影の裏側

【ブランディング撮影】新卒1年目が社長に聞く!萬屋本店ブランディング撮影の裏側

こんにちは。
萬屋本店、もてなし組スタッフの片本です。

先日萬屋本店では、ブランディング撮影が行われました。
今回、撮影全体をディレクションしたのは弊社代表宮腰。そのブランディング撮影の裏側について、新卒1年目の男性スタッフ、撮影当日はアシスタントとして現場に入った片本が、代表宮腰へのインタビューをしました。
従来のブログとは一味違ったテイストで、ドキュメンタリーとしてお届けしてまいります。

ブランディング撮影に込められた想い。真相とはー。
なかなか表には出ない宮腰が語る、撮影の裏側エピソードを包み隠さず公開します。


このタイミングでブランディング撮影に
踏み切った経緯は?

「最初、(ブランディング撮影は)するつもりなかった。改めて大々的に撮り直す気は全くなかった。」
1つ目の質問には、予想外の返答が返ってきた。
詳しく聞くと、そこには、宮腰が考えるブランディング撮影の”在り方”が見えてきた。

ーずっと愛されるものー

一般的にこの業界では、3年経てば会場は改装され、それと同時にブランディングも変わるため、そのタイミングに合わせて、会場も形を変えていくのが普通だそう。
そんな業界に、待ったをかける。

「万人受けするのを目指しているわけでもない」「大衆に評価されるからOKでもない」
宮腰の心の中には、確固たる信念があった。

「帰ってこれる場所」

萬屋本店では、レストラン営業も行っている。
そのお客様の中には、萬屋本店で結婚式を挙げ、記念日やお子様が生まれた後、お食い初めの時など節目節目で帰ってきてくださる方々もいる。
こうして結婚式が結んだ後も、お客様と一緒に人生を伴走できること、帰ってこれる場所としての役割を担っていることを、この1年足らずでも実感している。

そんな中、今回のブランディング撮影を行うことになったきっかけは、とある会議で、”動き”がないことが議題にあがったことからだった。

その”動き”とは、ブランドイメージの変化といったものではなく、インスタグラムのリール機能のような動画のことである。
多くのSNSで写真や言葉だけではなく、”動画”があること、それがお客様の景色から見て、”画面越しの世界”にとどまらず、イメージが膨らんだり、作り手と受け手の間の、憧れとリアリティの乖離が無くなっていく材料になるのである。

こうして、きっかけにもなった動画や、これまでの萬屋本店になかった新しい写真も含め、ブランディング撮影というものが始まっていった。ここで私は、何も疑問を感じることなく当日を迎えたのだが、実はこのブランディング撮影の仕方は、業界の中で”当たり前のやり方”ではなかったのだ。

一体どういうことなのだろうか。
そう、萬屋本店は、ブランディング撮影を自社で行っているということ。

よくあるのが、広告・宣伝用に、プロデュースを外注するスタイル。会場のブランディング、撮影のクオリティをその道のプロに委託して世界観を生み出すのである。その点についても、詳しく聞いた。

ブランディング撮影でできた作品は、HP、SNS、ブログなど、様々な媒体に使用される。

それで何が起こるのか。
お客様は、憧れを抱く。

宮腰は続けて言う。
「ただ、憧れを抱かせたいのではない。」
憧れを憧れのままで終わらせない、再現、実現させるところまで、宮腰は見据えている。
そしてこれは、宮腰自身のブランディング力があるからこそ、実現可能であること。それがあるからこそ、外注という形ではなく、自社で、ブランディング撮影が可能になるわけである。

その撮影に協力いただいたパートナーも、長年の付き合いでもある、衣装、メイク、カメラ、花、俥夫と、兼ねてよりセレクトされた精鋭部隊だ。

今回の撮影を共に行った撮影スタッフについても聞いてみた。
まずは、どれだけ撮りたいものがあってもこの2人が居ないと撮れなかった、欠かせない存在であるモデルのことから聞いてみることにした。

「宮腰さん、ずばりモデル選考の基準は?」

撮影までも、撮影当日も。
今日、このインタビューがなされるまで、モデルの2人に関して、宮腰の口からは、「一目惚れ!直感!ビビッ!」としか聞いたことがなかった。
だからこそ、宮腰が言う”一目惚れ”を知りたかった。

インタビューを進める中で、気になったのは、”変わる可能性”という言葉だった。
宮腰曰く、モデルが良ければ良いものが撮れるというわけではないようだ。
良いものが撮れるかどうかは、「こちら側の介在で左右されるのだ」と。
それがあっての、素材(モデル)が良ければ、もっと良いものが撮れる、という考え方である。

では一体、変わる可能性、化ける可能性は、どのようにして見抜くのだろうか。

ここで、もう一つ新しいワードが出てきた。
”幅が利く”という言葉だった。
男性モデル、女性モデルともに言えることではあるが、幅が利くとは、色気があったり、大人っぽさがあったり。
でもそれだけではなく、時よりあどけなさがあったり。

決して演じさせるのではなく、そして、衣装やメイクだけでその色気やあどけなさを表現するわけでもない、その人が出す、リアルな色っぽさ、あどけなさをおさめるのである。

そんな表情や佇まいを引き出せるかどうかは、「作り手の介在にかかっている。」と宮腰は言う。
そのこだわりが、”憧れ”を”憧れの世界”で終わらせることなく、”理想”と”現実”を切り離すことなく、叶えられるものとして表現されるのである。

「モデルさん、カッコイイ」「モデルさん、かわいい」だけではない。
憧れが夢に、夢が目標に、目標が現実に。お客様が叶えられるものとして。

モデルへの想いを聞きながら、決して繕いすぎることなく、それでいて、最大限に美しいありのままを引き出すことができるという自信、可能性への信頼、介在するパートナースタッフへの絶対的信頼を強く感じた瞬間でもあった。

「どのようにメンバー(スタッフ)の構成したのか?」

萬屋本店は、「モデルさんが映っている写真全部を自分たちも撮りたい。」と、こうお客様からのリクエストが来ても、それを実現させることができる。

そんな広告写真があるのも、強みの一つかもしれない。
どなたがいらっしゃっても、今回撮影した憧れるままの姿を実現させることができるのである。

それはなぜかー。
なぜなら、今回構成されたスタッフは、日頃から提携しているパートナーだからである。

ここでも、印象に残る言葉があった。
“調和してこそ美”
”自分の作品をつくりたがる人は合わない”
その言葉の真髄とはー。
勿論、全員がプロ。時間を定めなければ、とことんメイクをしたり、カメラを構えたり。

良いものを作りたいのは、皆同じなんだけれども、最高の自分の作品という思いだと、このチームには合わない。
それぞれのクオリティは、MAX出してほしい。けれど、それを追求しすぎると、尖り合うものがぶつかって、良いものは生まれない。

「こだわる故の衝突をさせないことも、私の仕事だし、責任である」とー。
それは、妥協によってのストップではなく、チームでやっていくうえで大切なことであり、”余白”なのだと宮腰は言う。

限られた時間の中で、良い雰囲気の中で、作り上げていくには、そういったチームを意識できるか、互いを見て、モデル、パートナー、全ての力を引き出す仕事を担うのがディレクターでもあるということ。
その眼差しからは、一言に、「いい作品を創る」ということに対しての想いだけではなく、完成図を見るお客様、モデル、パートナー、全てに対する愛情を感じた。



今回アシスタントを若手にしたメッセージとは。

今回のブランディング撮影のアシスタントメンバーは、新卒1~4年目のメンバーのみでの構成となった。
立候補制で、選ばれたのがいわゆる”若手”であった。
宮腰にその意図を聞いてみた。
まず、今後、ターゲットになってくるのは、年齢的に今の若手層になる。
それを考えた時に、どんな反応をするのか、それが見たかったという。

実際に私も、現場に入った身として、宮腰から見た若手の反応とは、、、という部分が気になるところではあったが、続けて話を聞いた。そこには、デザイナーとして、ではなく、ディレクター、チームを動かす人としての意図があった。

「作業させるのが嫌」という言葉を聞いた。
これまで、24年ほどの仕事人生の中で0→1を生み出す仕事をしてきて、現場の空気感の重要性を知っている宮腰だからこその視点である。

別にベテランだからやらされ仕事になるというわけではない。それは、新卒1年目の私からみても、間違いなく断言できる。
私たちのメンバーは火傷するほど熱い人たちばかりなのだから。(笑)

その中でも、若手のエネルギーを宮腰は信じた。気持ちを持ってやれるメンバーを募り、そのメンバーにとっては、初めてで、何とか役に立とうと必死に頑張る。
その空気感が、経験のあるスタッフに火をつける。
若手がいることで、雰囲気の底上げを図ることができ、しかもその現象が自然に起こす力を秘めていると。

いよいよ、撮影当日。

ブランディング撮影当日の朝、カメラマンから一通のメッセージが来たらしい。
「宮腰さん、今日は史上最高のものを創りましょう。」
この一言で、「あ、そうか。史上最高、、。」と意識が向くほど、それまでは、”前回を越える”というような意識はなかったという。
経営者という立場や、ディレクションをするうえで、勿論”前回とは異なるものを”、”新たなものを”という考えはあっても、”前回を越えなければ”、などのプレッシャーを全く感じないのは、宮腰のこれまでの場数と、それから来る経験値があるからだろう。

「大衆に評価されたいと思わない。誰にでも、受けるものは嫌。太く、深く。」と語った宮腰の根底には、
ーずっと愛されるものー
この思いがあるからこそ、周りに言われてみるまで史上最高というような意識はなかったのだと、この話を聞いて改めて実感した。

撮影が始まると、テンポよく、OKの声がかかった。
初日、終盤に差し掛かったところで、宮腰の言葉からこんなことを耳にする。

「ここ撮っておきたい。」
「あらかじめほしいものは、もう撮れた。」

撮影現場なのだから、ごく普通のフレーズであるが、なぜか私は、この言葉が耳に残っていた。

「これが撮りたい」の”これ”はどこから来るのか。
あらかじめほしいものは決まっていた。
その”ほしいもの”はどこからくるのか。


「『あらかじめ撮りたいもの』のイメージや発想、
インスピレーションは一体どこから来るのか?」

宮腰は、過去に自分がディレクションした作品を見ることはほとんどない。他の会場がどのような写真を掲載しているかも全く見ないのだそう。
「これまで自分自身が体験したこと、旅行やレストラン、普段の生活の中での、ちょっとした何気ない景色や道行く人の表情、そんなことが自分の中に自然と蓄積されている。そしてその蓄積されたものと、これまで萬屋本店で結婚式を挙げてくださった方々の写真を見た時、萬屋本店で何を表現したいかが湧きあがってくる。」そう宮腰は語った。

何気ない日常と、これまでのお客様の情景からくるそのアイデア。
それを形にしていく工程には、今回の撮影の目的と宮腰のマネジメントが隠れていた。

ー目的。
「New<数」
大きく新しいものに変えるというよりは、たくさんの数(種類)が欲しかったという。大小、目的や理由はある中でも、”動き”を撮りつつ、この目的もあったからこそ、スチールも、1枚良いと思えるものが撮れたら、そこにOKを出し、ほぼ全てのカットが10分以内/1カットで進められていった。

ーマネジメント。
初めて、今回のようなブランディング撮影の現場に入る自分でも、OKの声や、判断するそのスピードの速さに驚いた。
そしてそれは初心者の自分だけではなく、周りのスタッフも、同じことを感じていたらしく、多くの人から、その決断の速さに驚きや尊敬の声が上がった。
宮腰は、24年間の業界経験があるから早いのではなく、意図して速いテンポで進めていたと言う。

ここから話は発展し、目的に重ねて、チームで作品を創るうえで、重要なことの話題へと進む。



「誰かと何かを創るうえで意識していることは何か?」

長年で信頼関係も築き、わかり合っているメンバー、パートナー。
とはいえ、誰かと何かを創るうえで意識していることはあるのだろうか?

今回の場合、「New<数」という目的があった。
それがあったのことも少なからず影響していると思うが、ただ、目的に拍車がかかったのではないと、インタビューをしていて感じたのだった。
代表、ディレクター、宮腰真里の目線に答えはあった。

”ターゲットストローク”と宮腰は言う。

”ストローク”は、承認を意味する。
ターゲットストロークとは、いわば、その人が一番欲しい言葉を伝えること。
正に、最大級の承認なのである。

宮腰がその声をかけるのは、モデルだけが対象ではない。衣装、メイク、カメラ、装花だけでもない。
今回参加した若手アシスタントメンバーにまで、最大の承認の言葉をかけてくれたのだった。

「やっぱり○○さんは間違いなかった!」「○○のおかげで現場が回ってる!」
単に褒めちぎるわけでもない、その時々、それぞれのメンバーにあったタイミング、言葉をかけ続けたのだった。
そこには、やはり「ありがとう」「いいね」の一言とは違う、愛と、ユーモアたっぷりのメッセージがあった。

誰にどんな言葉をかければ、その人の気分が上がるのか。
そして自身の発する言葉には、影響力があることも理解したうえで、その言葉を聞いた周りのメンバーさえも、気持ち良くなる、そんな言葉を意識していたという。

結果、大きく躓くことなく、2日間の撮影はクランクアップへと進んだ。

宮腰の話を、当日の様子を振り返りながら聞いていた。

個人的に、気になっていた、若手アシスタントの効果を恐る恐る聞いた。
答えは明確にあった。効果は2つ。

一、スタッフ全員が”いい作品を創る”というモチベートが成された。
当日、アシスタントは、撮影現場に居ながらも、カメラマンがモデルを捉える瞬間にはほとんど立ち会うことはない。

香盤表を見ながら、2つ、3つ先の進行を想定し、それに必要なものや、会場のセットを行う。
余裕があった時は、撮影の場も見学することはできたが、パソコンに映し出される写真も動画もほとんど見ないまま終えた。

だが、宮腰の目には、それでも楽しそうに動く若手が映っていた。

初日の天候は、なんと雨。過度な照明は使わず、自然光で、と打ち合わせでも話していた宮腰の姿を若手は覚えていた。
庭は石畳。「前日にビニールシート掛けて置けば、、、!」と後悔をしながらも、降りしきる雨の中、必死に裏紙や雑巾を使い、時にはドライヤーを使って、石畳を乾かした。誰もそれを滑稽だなんて思わない。
衣装が汚れることなく美しく、反射光も邪魔をせず。
全てはいい雰囲気で、いい作品を創るために。その一心だった。

結果的に、こうして当日舵を取った宮腰から、その姿が全員の強い気持ちをモチベートしたと聞くことができて、安心と喜びを感じた。

そして、もう一つ。
1つ目にも通ずることだが、若手がいることで、モデルの緊張感が和らいだということ。
何といっても、モデルがいなければ、撮る対象がない。
その二人の温度感を如何に上げるかは、撮影スタッフの手腕にかかる。
勿論、若手だけの力とは微塵も思っていないが、若手の一員として、その一役を担えたことは誇りに思う。

”作り手がどれだけこだわっても、何の価値にもならない”
このメッセージは強く響いた。

宮腰はある例えを出して、私に話した。

「ラーメン屋があるとしよう。大将が、数多くの工数をかけ、こだわり満載のラーメンを作る。ただ、どれだけこだわろうと、それを食べる人がいなければ、価値にならない。食べて評価する、共感する、これは美味いと誰かに広める伝え手がいないと、意味がない。」

これはブランディング撮影においても、いや、全ての物事に言えることだろう。

私たちが、どれだけこだわり抜いて作品を創ろうとも、届き、共感し、支持を頂くことができなければ、それは価値ではなく、言葉を選ばず言ってしまえば、自己満足で、記念撮影で終わってしまう。
だからこそ、これからを担う若手に、伝え手になる若手に、この現場を見せたかったという思いをうかがえた。

人の求める数。それが価値であるということを心に留めておきたい。


ーずっと愛されるものー
リアルを追求し、チームが動き、1つの作品を創り上げること。

実は宮腰は、モデル選考から、撮影当日の様子まで、多くの情報をインスタグラムで発信していたのである。

経営陣からは、「ここまで写して大丈夫ですか。」と言われることもあったという。
それでも、どっしり構えている姿がそこにはあった。
「真似するなら、それでOK」

等身大の、このままの自分が、信頼を置くスタッフの介在によって憧れ以上の自分になれる、そんなリアリティを届けたい。
だからこそ、裏も表もない。
夢でも、憧れでもない、リアルであることを制作の段階から見せることさえも、宮腰にとっては一つのブランディングなのである。

”手の届きそうな”ですらない、”手の届くもの”を表現しているのだから。

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