文化三年創業
老舗商家 萬屋本店
創業200年。
萬屋本店は、文化3年に長谷寺界隈の集落のために、味噌や醤油などの日用品を扱う商店が始まりでした。
明治に入ると、名だたる文豪家が執筆の場所を鎌倉に移し、様々な文化発信を行う街に変遷していきます。
そんな賑わいを見せる中、現当主の曾祖父にあたる5代惣佐衛門が、当時日本で一番うまいと言われていた伊丹の日本酒、白雪を鎌倉で取り扱うことに成功し、萬屋本店はその名を長谷から鎌倉全土へ広げたと言われています。
そんな萬屋本店は、時代の流れと共に幕を閉じ、令和の今、あらたに祝杯の場へと姿を変えました。
奇跡的にオープンが許された場所
大正15年に建造。
鎌倉は戦火からも逃れ、当時の姿を今に残す建築物は貴重な日本の財産になります。
しかし、現在の建築基準法では、歴史的建造物を新たに活用することは難しく、そのほとんどが取り壊され、コンクリートに建て替えられています。これが日本における木造建築物が残っていない大きな理由の一つです。ここ鎌倉も、古都と呼ばれていながら、鎌倉市の景観重要建築物に指定される建物は34に限られ、保存活用された事例はいまだなく、その数は年々減少しています。
そんな中、萬屋本店の歴史的価値とその価値を残す保存活用事例が奇跡的に行政に認められ、2016年にオープンを迎えました。
約100年を迎える門構えは、2尺の梁を有し、釘や金具を使わない伝統工法で建てられています。皆様をお迎えする土間には、往年の徳利や、取り扱い商品の看板、重厚な金庫や神棚などがあり、当時の様子をそのまま残しています。
大正ロマンの趣
その時代を継承し純和風仕様ではなく、大正ロマンをテーマに全体をデザイン。西洋アンティーク調の家具やランプシェード、格子やカーテンなどのファブリックに重厚感とモダンさを加え、全体のアクセントに。
YUINOHI挙式会場
酒を貯蔵していた蔵は萬屋本店の商売を担う最も大切な場所。かつての蔵を大切な誓いを行う場としてリノベーション。明り取りの天窓からは日光が降り注ぎ、ふたりの門出をやさしく照らす。
SOUZAEMON披露宴会場
往年の時代が醸す懐かしさと温かさ。華美すぎず簡素すぎず、背伸びをしない身の丈の設計が、今の時代にふさわしい「ちょうどよさ」を教えてくれる。
待合室・控室
鎌倉最古の神社、甘神明宮を見渡せる二階は、来賓のお待合室として。欄間や細工が入った窓ガラスは当時のものを使用。一点物のアンティーク家具を取り寄せるように、一つ一つの家具をオーダーメイドし、くつろげる空間に。
庭
老舗商家の名残である沓脱石や、灯篭、水鉢と、四季を通して楽しめる木々は、まるで額の絵を切り取ったようにそこに佇み、季節の移ろいを感じさせてくれる。
室礼・小物
日本全国から集めた調度品や食器、小物は大正時代を彷彿させるものたち。伝統技術での手作り品や、一点物の骨董などが様々なシーンを彩ります。