鎌倉の景観重要建築物等に「萬屋本店」が登録されました

鎌倉の景観重要建築物等に「萬屋本店」が登録されました

こんにちは。
萬屋本店の阿部でございます。

この度、萬屋本店が鎌倉市の都市景観条例により、鎌倉らしい景観に重要な役割を果たしている「景観重要建築物等」に認定されました。

≫景観重要建築物等:鎌倉市HP内外部リンク
鎌倉市内では37号目の認定でございました。
そして有難いことに、そういった建築物や私どもの想いに共感頂き、BS朝日の「百年名家」でも取り上げて頂きました。

私たちスタッフはもちろん、お客様も愛してくださっているこの萬屋本店ですが、今回どのような背景で認定頂き、番組でも取り上げていただけたのか。
そういったことをお伝えしていけたらと思っています。

-萬屋本店とは-

そもそも萬屋本店とはどういった場所なのか。
文化三年に創業した萬屋本店ですが、門前町には生活必需品を一手に取り扱う商店があったそうです。
この長谷寺の門前にございましたのが、創業200年の萬屋本店でした。

当時様々なものを取り扱っており、酒や味噌、醤油などといった、人々の生活に欠かせないものを取り扱っておりました。
中でも萬屋本店が一挙に栄えたきっかけとなりましたのが、「白雪」です。
当時は物流の整っていない時代。
その時代に兵庫・伊丹の「日本一美味い酒」と言われておりました「白雪」を鎌倉で初めて取り扱ったのが、この萬屋本店だったといわれています。
そこから萬屋本店は酒を酌み交わし語り合う、鎌倉の繁栄を下支えする存在として地位を確立していきました。

そんな酒問屋は2006年に幕を一度閉じることとなりました。
当主の石渡さんは当時鎌倉市長を務めていらっしゃり、鎌倉の町を良くしていきたい、という想いでいらっしゃいました。
そのため萬屋本店を閉められたあとも、何がご自身でできるのか、萬屋本店をどう生かせるのかかと
考えていらっしゃった際に、弊社代表と出会いました。

-大切にしてきた「想い」を継承する-

長く商いを続けるには、その当主が大切にしてきたものや想いを、それ以上に自分たちが大切にすることに尽きる、そう考えました。
家人が大切にしてきたもの、それは大正14年より続く2尺幅の梁を有する門構え、客人をもてなしてきた床の間、長らく商売を支えてきた金庫や神棚。
そして歴代のダルマや当時使われていた秤や徳利までもが大切に保管されていました。
そこから見えてきたこと、それは「もてなし」の精神でした。
お客様が来れば中にお通しし、自らで座布団を用意し、お茶を出す。
この場所に来てくれたお礼を当主自らが体現されていらっしゃったのです。

そして私たちは古い建物を新しく作り変えることよりも、
ご先祖様や当主が大切にされてきたことや、ものや精神を大切にし、後世に語り継がれるような文化や建物を残していきたいと思い、萬屋本店のプロジェクトを進めて参りました。

-景観審議会委員 水沼淑子先生へのインタビュー-

この度景観重要建築物等に認定頂く際に、関東学院大学名誉教授であり、工学博士・一級建築士でいらっしゃる水沼淑子先生にお力添えを頂きました。
その水沼先生に、景観重要建築物等の認定や、TVへ取り上げてい頂いた背景をお聞かせいただきました。

Q どんな基準でこの度私どもをお選び頂けたのでしょうか。

A 私が萬屋本店を知るきっかけとなったのは、景観重要建築物等の視察でした。
その際に、建物の素晴らしさをまずは感じました。
ファザード(建物の正面・外観)を含め、お店全体が良好に保存をされていること。
そして長谷の街並みにとって、長谷の歴史にとって、決して失ってはならない建物であると感じたことが今回認定された背景には大きくあります。

Q そのように仰っていただきありがとうございます。
それではTVの番組で取り上げて頂けたご理由はどういった観点で選んでいただけたのでしょうか。

A 先述させて頂いたような点があったこと。
そして私が萬屋本店に訪れた際に、建物の魅力はもちろんですが、説明をしてくださった方をはじめ、お店にいらっしゃった他のスタッフの方々皆さんが、
建物を大事に思い、同時に誇りに思っていらっしゃることがひしひしと伝わってきたからです。
皆さんと接する中でこの建物は幸せ者だな、と強く思いました。そこでぜひそんな場所を視聴者の皆様に紹介したいと思いました。

Q そんな風に思ってくださったのですね。ありがとうございます。
水沼先生が視聴者の皆様に伝えられたいと思われたポイントなどがございましたら是非教えてください。

A 私は仕事柄、多くの建物を見ますし、多くのリノベーションも見てきました。
その中でも萬屋本店は、建物へのリスペクトや先人へのリスペクト、元々の用途との相性、手がけた建築家のアイディア、施工の質の高さ、実際の空間の使い方。
どの部分を切り取っても高く評価でき、
リノベーションのモデルになりうる事例であると強く感じ、そのことを伝えたいと思いました。

水沼先生からのお言葉を伺った時に、私どもが日々大切にしてきたことや想いが伝わっているのだととても嬉しく思いました。
どんな名誉をいただけても私どもの大切にしている想いは変わりません。
この場所が、「ご家族の成長と共に歩んでいける場所」であり、「人生の節目の場所」であり、
新郎新婦様やその大切なゲストの皆様を心からもてなしていくこと。
少しでも世の中に貢献していけることを追い続け努力してまいります。
次の200年を継承していけるように、これからも頑張っていきます。

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