実は通気性に優れた日本家屋の構造

実は通気性に優れた日本家屋の構造

こんにちは。
萬屋本店ウエディングプランナーの千葉でございます。

先日は春一番も吹き、少しづつ日差しにあたたかさを感じるようになってきました。
四季がある日本では、その季節とともに生活を送るために古くから培われてきた知恵がたくさんございますが、それが形となったものの一つが「家・家屋」ではないでしょうか。
萬屋本店としてご結婚式をお手伝いさせていただく中で、皆様に安心してお過ごしいただくための様々な対策を設けさせていただいておりますが、日本家屋について調べてみると、その構造自体が安心につながっていると感じられる点がたくさんございましたので、ご紹介させていただいます。

萬屋本店は大正14年に建てられた木造建築の日本家屋でございますが、お越しいただくお客様からはよく「田舎のおばあちゃんの家みたい」というご感想をいただきます。
それは梁や畳、土壁などのしつらえはもちろんですが、少しひんやりとした空気からも感じ取れるものなのではないでしょうか。
なぜ、ひんやりとした空気を感じられるのかと申しますと、日本家屋は木を湿気から守るために通気性を重視し、数々の工夫を凝らして設計されているからだそうです。
日本鉄筋コンクリート造や鉄骨造が一般的な現代の建物の造りとは異なる部分がたくさんございます。

◆屋根に敷かれた瓦
瓦は曲線を描いたような形になっているので、屋根との間には隙間が出来る構造になっています。
また、すべての瓦がくっついているわけではなく、一枚一枚を組み合わせたようになっております。
この様な構造になっているために、換気と通気が可能となり、室内の快適性につながると言われています。

◆南北に大きく開いた間口
萬屋本店の庭側は南に位置し、その先には由比ガ浜がございます。
浜から吹く風を家屋の中に通しやすくするために、壁ではなく障子や襖によって部屋が分けられております。
それを開け閉めすることで室内の空気を循環させたり、室内の温度を調整していたと言われています。

◆床や壁の素材
床は畳、壁には漆喰や土壁が用いられております。
どちらも調湿性に優れており、湿度を吸収しやい木材が腐食してしまうことを防ぐために考えられたものでした。
特に漆喰においては、その主成分である消石灰(水酸化カルシウム)が有する強アルカリ性により、抗菌・抗ウイルス・消臭などの面でも優れた機能があるそうで、ある大学の研究機関の発表では、新型コロナウイルスに対する不活化実証試験の結果、接触5分で99.9%以上の不活化効果を確認したとの報告も上がっております。

◆地面から高く設置された居住スペース
昔の家は土間がありましたので、居住スペースが地面から高い位置に設けられておりました。
萬屋本店もそのような造りとなっており、床下も空気が流れるような設計となっております。

こうした知恵は、空調設備などが整っていなかった時代に先人たちが長きにわたって培ってきたものであり、現在の便利さを追求した建物では感じられない味わい深い雰囲気にもつながっていると感じます。
また、換気の徹底が必要不可欠とされる昨今においても、建物自体が通気性や換気を供えたものであるからこそ、萬屋本店にお越しいただく皆様にとって、より安心してお過ごしいただける一役を担っております。

今年で96歳を迎える日本家屋ですが、建物自体の素晴らしさはもちろん、職人の技術や思いなども後世の人たちに感じていただける様に、大切に扱わせていただきたいと思います。

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