【祝言(しゅうげん)】日本に昔から伝わる結婚式
こんにちは。萬屋本店の水間です。
本日は、萬屋本店で行わせていただいている結婚式、
【祝言(しゅうげん)】について書かせていただきます。
鎌倉を代表する商家、萬屋本店で、どのような挙式を挙げていただきたいか、
萬屋本店と出会ったときから考えていたことでした。
創業200年の歴史。
鎌倉の名家。
歴史的建造物。
鎌倉を代表する屋号。
そう思うと、新しく作られた、流行的なものではなく、
代々日本に引き継がれている、日本人ならではのものが良いなと考えていました。
歴史を経ることで、それは文化となり、時代に合わせて、いいものだけが残る。
そのことを、萬屋本店では挙式に込めて、
一生に一度の結婚式をしていただけたらと考えました。
その場所は、鎌倉の栄華を支えた蔵。
そこで行われるのは、祝言(しゅうげん)。
萬屋本店の祝言とは、
日本にキリスト教式や神前式の挙式が定着する以前、
婚礼の儀は新郎の家で行われるものでした。
「花嫁道具」とは先立って花嫁の荷物を新郎宅に運び入れる道具入れからきた言葉、
嫁入りは花嫁が新郎宅に移ること、そして親戚縁者を招いてお披露目をする祝いの集まりは
「祝言(しゅうげん)」といって現在の披露宴に相当するものでした。
これから身内になる人々を前に、厳かに誓いを立て、悦びをわかちあうひとときです。
萬屋本店の祝言は、親御様への感謝を伝える「挨拶の儀」からスタートします。
この世のどんな人も、産んでくれた人が居なければこの世に誕生していません。
この世に生を受け、育ててくださったことへの感謝を伝え、人生に節目を創る、けじめの時間です。
そして、そのまま親御様とともに挙式会場へと歩を進めます。
親御様と手を取り合い、共に歩くのは何十年ぶりかもしれません。
今までの人生を振り返り、互いに伝えきれてこなかった想いを感じ合う時間になるかもしれません。
挙式の入場シーンでは、お母様から「筥迫(はこせこ)」を新婦様の胸元に贈っていただくシーンから始まります。
「筥迫(はこせこ)」は、花嫁が身に着ける小物の一つ。
元々は化粧ポーチの役割を果たしていて、当時は筥迫の中にはおしろいや、懐紙、紅など、
身支度を整える化粧道具を入れていたと言われ、大人の女性の持ち物を象徴しています。
嫁ぐ娘に母から贈る、嫁入り道具でした。
そして、夫婦としての契りを交わす誓いのシーンとして、
「三婚の儀(さんこんのぎ)」を行います。
これから夫婦として歩む新郎新婦が、同じ酒を体に入れることで、
夫婦になる決意を表しています。
また、三婚の儀は、三つの盃を三回、三回、三回の計九回で飲み干すことから、
「三々九度」とも呼ばれています。
九回行う数字の9は、割り切れない奇数の中でも最大数の9はおめでたいことの頂点と考えられています。
また、「これから散々苦労を共にしても支え合っていきます」という覚悟と誓いが込められています。
その祝言を、最後を締めくくるのは、三礼の儀。
日本では何事も礼に始まり礼で結ぶ。
三度の礼、つまりお辞儀を通し、ご列席の皆様に感謝の念を伝えます。
新郎新婦様からお伺いした感謝の言葉と共に、礼に想いを込めて。
初めに、新郎ご両親へ。
続いて、新婦ご両親へ。
結びに、ご参列頂いた皆様へ。感謝の言葉と共に一礼をします。
凛とした空気の中、これまで自分たちを支えてくれたことへの感謝、
いまここに夫婦となる宣言という新郎新婦の込められた気持ちが、
そこに居るすべての人々に伝わり、心を熱くします。
日本人が大切にしてきたことを大切にする風習。
それをお二人のこれからの歩みをはじめるときに、
挙式として行えたらと思います。
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